【シリーズ第5話/8】コレステロールは悪者なのか? 本当に怖いのは「酸化」と「炎症」
健康診断でコレステロールが高いと言われると、多くの人がこう思います。
「血管が詰まるのでは?」
確かに、コレステロールは動脈硬化と関係しています。
しかし実は、
コレステロールそのものが悪者というわけではありません。
むしろ、体にとっては
とても重要な役割を持つ物質です。
今日は、少し視点を変えて
コレステロールの本当の役割を見ていきましょう。
1. コレステロールは体の材料
コレステロールは、体の中で次のような材料になります。
・細胞膜
・ホルモン
・胆汁酸
特に重要なのが 細胞膜 です。
私たちの体の細胞は、
すべて 膜 によって守られています。
この膜の構造を安定させているのが
コレステロール です。
つまりコレステロールは
生命活動の基本材料
なのです。
2. コレステロールは「血管修理隊」
ここからが重要な話です。
血管の内側には
以前の記事でも紹介した
血管内皮
という非常に繊細な細胞があります。
この内皮が
・血糖スパイク
・炎症
・酸化ストレス
などで傷つくと、
体はすぐに 修理 を始めます。
そのとき現れるのが
LDLコレステロール
です。
LDLは
傷ついた血管へ
コレステロールを運び
修理材料を届ける
役割を持っています。
つまり
LDLは犯人ではなく、修理隊。
火事の現場に消防車が来るのと同じです。
消防車が多いから
火事が起きたわけではありません。
ただしLDLは血管修復に関わる役割もありますが、
血中で過剰になると動脈硬化リスクと関連することが知られています。
3. 本当に危ないのは「酸化LDL」
問題は
コレステロールそのものではありません。
酸化です。
LDLが
・活性酸素
・慢性炎症
・高血糖
などの影響で酸化すると
酸化LDL
になります。
この酸化LDLを
免疫細胞である マクロファージ が取り込むと
泡沫細胞
というものができます。
これが血管壁に蓄積すると
動脈硬化のプラーク
が形成されます。
流れを整理するとこうです。
血管ダメージ
↓
LDLが修理に来る
↓
炎症環境で酸化
↓
泡沫細胞
↓
プラーク形成
つまり
本当の犯人は
・酸化ストレス
・慢性炎症
なのです。
4. LDLだけではリスクは語れない
最近の研究では、
動脈硬化リスクを見るとき
LDL単独よりも重要な指標
があると言われています。
・中性脂肪(TG)
・HDL
・TG / HDL比
特に
TG / HDL比
インスリン抵抗性の指標としても注目されています。
実際に多くの研究で、TG/HDL比とインスリン抵抗性との関連が報告されています。
ここで、これまでの話がすべてつながります。
血糖
↓
インスリン
↓
慢性炎症
↓
酸化ストレス
↓
血管ダメージ
つまり
脂質異常症も血圧も血糖も
根っこでは
同じ「代謝ネットワーク」
の中で起きているのです。
結論
コレステロールは「敵」ではない
コレステロールは
血管を壊す物質ではなく
血管を修理する材料
です。
問題なのは
血管が傷つき続ける環境。
・血糖スパイク
・慢性炎症
・酸化ストレス
・インスリン抵抗性
これらが重なると
修理隊が働き続け
結果として
動脈硬化が進行します。
だから私は
血糖
血圧
脂質
を別々の問題としてではなく
「代謝全体のマネジメント」
として見ています。
血管は
体のすべての臓器につながる
命のインフラ
だからです。
次回は
「カリウム神話」
減塩だけでは説明できない
血圧の仕組みについて解説します。
コメント
コメントを投稿